奨学生の近況5|2019年度 前期

『中高生に教える中で自ら学ぶ』

 

前年度の成績が認められ、無事二回生に進級することができた。

二回生からは、基礎科目だけでなく専門科目も加わって一回生の時と比べ、こなさなければならない課題が増えた。

なかでも、実験のレポートが多くの割合を占めており、提出期限に追われている。

実験レポートには、目的、方法、結果、考察をWord使用不可かつ手書きで書かなければならないものがあり、大学の厳しさを実感した。

実験は前期で1つの実験を行うのではなく、遺伝子系、分子系、細胞系、環境系の4つの分野を偏りなくそれぞれ7日間かけて行っていく。

大学で行われる学生実験は、将来技術者として働くことを念頭において構成されているため、プロトコルを読んで実験を進めていくことが大半である。

実験ごとに班のメンバーは変わるが、教員やほかの学生の協力のもと無事にすべての実験を失敗なく終わらせることが出来た。

 

学外では、時間があるときに青少年活動センターで地域の中高生たちの勉強の手伝いに参加している。

そこでは、自分が勉強を教える側ではあるが、私自身も人との交流の重要性を学ぶことができた。

たとえば、いきなり初対面の大学生に勉強を見られるのは、緊張や不信感があったりするので軽い会話を重ねたり、普段とは違う話しやすい口調を意識すると比較的に交流がスムーズになることがわかった。

 

学習センターでの教えるという経験は、交流以外に学習に対する姿勢について改めて考えるきっかけとなった。

中高生の中には、勉強しに来たもののほとんど手につかず、集中して取り組めない子がいた。

そういう時は、誰かに口うるさく「勉強しなさい」と言われても余計にやる気を削がれることだろう。

また、学校に通っている以上は勉強が必須であることぐらいきっと本人が一番理解しているだろう。

 

ではなぜ、分かっているのに勉強に取り組めないのかと私は疑問に思い考えた。

考えた結果、あるひとつの結論にたどり着いた。

勉強は、目標を達成するための一つの手段である。

しかし、勉強を拒んでしまう人には、モチベーションとなる明確な目標が無い。

そのため、自分は何のために勉強しているのか分からずに勉強を拒んでしまうのだろう。

 

私も、なぜいま大学で学んでいるのかと考えることがあった。SNSを通せばさまざまな分野で活動し、華々しい結果を収めている人々を見ることができる。

自分と同じ年齢なのに、既に社会に進出し活躍する人を見ると、どうしようもない焦燥感に駆られ、今の大学での生活を放棄したくなることがあった。

しかし、活動センターで勉強に取り組めない子と出会ったことで、私が何のために大学で勉強をするのかを改めて考えることができた。

今後も同じように悩むことがあるかもしれないが、今回のことを思い出し、自分の目標のために勉強に励みたいと思った。

 

以上のことから誰かに教える立場になるということは、自身も常に学ぶ立場にあるということを知ることができた。

 

大学 バイオサイエンス学部 2年生 Z.S.さん