朝田善之助賞

「朝田善之助賞」創設に当たって

「朝田教育財団」は1981(昭和56)年に設立されて以来、42年にわたり活動を続けてきました。主な事業としては、大学生、大学院生への奨学金貸与事業、部落問題の研修・啓発・研究事業、部落問題に関する資料の収集・整備、公開事業を行い、大きな成果を上げてきました。特に、事業の大きな柱である大学生等に対する奨学事業は、これまで延べ77名に、貸与総額15,000万円を超え、修学支援とともに部落の子弟の教育水準を高めるために大きな役割を果たしてきました。また、今年は「朝田善之助記念館」(附属図書室)開館5周年を迎えました。約7万点に上る資料の整備、公開事業が進んでいます。


これまでの事業展開を振り返り、今後は研究事業の推進が必要

このように財団として充実した事業展開をおこなってきましたが、より一層財団の設立目的の実現を目指すには、今こそ研究活動の推進が求められていると言えます。部落問題の解決には理論と実践及びその研究が何よりも欠かせません。研究を推進することにより、理論と実践の円滑な相互の関連を見据えその関係性を検証していくことが重要です。
朝田元委員長が、常に言っていた言葉があります。「わしが、みんなに(勉強せよと)きつく言う理由がわかるか。わし自身も勉強しているからやで」
こうした観点からこの度公益財団法人朝田教育財団「朝田善之助賞」を創設することになりました。

「朝田善之助賞」創設の意義

今日、部落問題にかかわる研究はさまざまな視点から幅広く行われてきています。そうした中で、今、財団として研究事業を進める意義はどこにあるのでしょうか。
今回「朝田善之助賞」を創設することは、朝田善之助元委員長の偉大な業績を今後も広く社会に伝えることになるとともに部落問題解決への新たな展望につながるものであると考えています。
また、「朝田善之助賞」創設により、意欲的・積極的に部落問題解決のための研究に取り組んでいる研究者の方々に対する強い支援のメッセージになることでしょう。同時に、本財団にとっても、賞にふさわしい研究や研究者の発掘に努めるとともに適切な受賞者を決定するため財団が持続的に充実した活動を続けていくことが求められており、財団の存在意義がより強くなっていくと言えるでしょう。

「朝田善之助賞」受賞者に期待するもの

初年度から非常に優れた研究がされることは難しいかもしれません。しかしそれでも財団の設置趣旨をしっかり理解した意欲的な研究であれば十分我々の意図したところと言えるでしょう。既存の研究論文等を対象にして優れたものを表彰するのではなく、研究テーマに基づいて研究助成を行いその後に研究報告を提出してもらうという方式である限り、研究助成決定の段階では研究報告の質までは担保できません。2年後、3年後に発表された報告集を見ていただいた方がこういう内容なら我々も研究を進めることができるという思いでチャレンジしてもらうことで、研究の輪が広がり、より充実した内容の研究につながっていくのではないでしょうか。


“柔軟な発想で 新たな挑戦を”
公益財団法人 朝田教育財団「朝田善之助賞」募集要領

1.趣旨

公益財団法人朝田教育財団は、部落の青少年などの教育を振興するとともに、部落問題に関する研修、啓発および研究を行い、もって部落問題の解決に寄与することを目的として1981年に設立されました。
2022年には、朝田教育財団設立40周年、朝田善之助生誕120周年および全国水平社創立100周年の記念すべき年を迎えました。2023年は、「朝田善之助記念館」(附属図書室)開設5周年になります。これを契機に、この度「朝田善之助賞」を設けることとし、本財団の趣旨を理解し、部落問題解決のための研究を意欲的に推進しようとされる方に対して助成事業を実施することにいたしました。本事業を通してより一層財団の研究活動が充実していくことを願っています。

2.名称

公益財団法人 朝田教育財団「朝田善之助賞」

3.募集対象者

研究者(在野で研究する人も含む)、大学生、大学院生、保育・幼児教育関係者、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、総合支援学校教員など幅広い方々を対象とします。研究活動に取り組んでおられる方だけでなく、教育現場で日々創造的な教育実践に携わっておられる方も対象者としています。個人での研究だけでなく、団体やグループでの研究も対象とします。

4.申請書

申請しようとされる方は、財団ホームページから申請様式をダウンロードし、データまたは郵送で申請してください。
《申請書ダウンロードはこちら》

5.申請期間

本事業の実施は2023年度から5年間とします。2023年の申請については8月から11月末日までです。

6.助成対象者および受賞者の決定

助成対象者および「朝田善之助賞」受賞者は当財団理事会で決定します。1年5件までとします。なお、選考に当たっては、「朝田善之助賞」の趣旨を踏まえ総合的に判断します。

7.対象とする論文等の研究分野

研究分野については、研究テーマ・研究課題・研究成果が部落問題解決に向けた明確な展望とそのための道筋を示しうるものであって、研究テーマは、部落の生活、就労、教育、福祉、まちづくり、歴史など部落問題解決へのアプローチとします。

8.助成対象者の決定

助成対象者は2024年1月に決定し、決定後速やかに申請者に通知します。
又、助成対象者には、決定時に研究を行うための助成金として、各個人または団体〈グループ〉に5万円を支給します。

9.「朝田善之助賞」

助成対象者は2024年11月までに研究成果をまとめ研究報告書を提出していただきます。提出いただいた研究報告書をもとに「朝田善之助賞」を2025年3月に決定し、決定後速やかに各対象者に通知します。
「朝田善之助賞」として、各個人には1件につき10万円、団体(グループ)には1件につき30万円の賞金と賞を授与します。特に優れた研究内容と認められる場合は最大50万円まで支給します。

10.研究報告会

「朝田善之助賞」受賞者は、2025年7月開催予定の研究報告会で研究概要を報告していただきます。
なお、提出していただいたそれぞれの研究報告書を財団で研究報告集としてまとめ刊行します。

申請書ダウンロードはこちら
公益財団法人 朝田教育財団 「朝田善之助賞」助成金交付申請書
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