住民の尊厳と意志が尊重される復興を
1.授業・研究、クラブ活動、ボランティア活動など
博士後期課程2年目の後半に入り、博士論文に向けた研究の位置づけを明確化しながら、分析および執筆を本格化させている。査読論文の執筆も進めており、博士論文としての構成を見据えた整理・検討を継続している。
11月末には農村計画学会において学会発表を行い、能登半島地震後の石川県輪島市南志見地区を対象に、地域組織の分類と役割変化、ならびに組織間協働の実態について分析結果を報告した。本発表を通じて、公立小中学校が地域内に存在しない復興過程においては、地縁的なつながりが弱まりやすい一方で、仮設住宅の立地や震災前から地区の中心であった集落が、人の集まりや地域活動の拠点として引き続き重要な役割を果たしていることが示唆された。これらの知見は、学校という公共拠点の移動・不在が地域構造に与える影響を検討する自身の研究とも密接に関連している。
研究と並行して、所属する農村計画学会災害対応委員会では、能登半島地震後およそ1年半にわたり、石川県輪島市南志見地区において復興支援活動を継続してきた。これまで住民懇談会の開催を重ねてきたが、後期に入ってからは区長会を中心とした地域内の意見集約を支援し、市への要望書提出に向けた整理作業に取り組んでいる。
2.「奨学生の集い・学習会」への期待・要望など
後期に入り、博士課程と仕事の両立を本格的に再開したことで、時間的・精神的な負担の大きさを改めて実感している。一方で、限られた時間の中で研究を進めるための優先順位付けや、作業の効率化について試行錯誤を重ねる機会にもなっている。
今後の「奨学生の集い・学習会」については、将来的に学業と仕事、あるいは家庭との両立を目指す奨学生が増えることも見据え、研究と生活を両立させるための工夫や課題を共有できる機会として位置づけられることを期待している。また、分野の異なる奨学生との交流を通じて、自身の研究を相対化し、長期的な研究計画やキャリア形成について考えるきっかけとなる場になることを望んでいる。
3.差別・人権
現地での調査・支援活動を通じて、能登半島地震および奥能登豪雨から一定の時間が経過した現在においても、南志見地区では道路や河川、水道、通信施設、農道や水路などのインフラ復旧が十分に進んでおらず、住民の生活や生業に継続的な支障が生じていることを実感している。こうした物理的な被害の長期化に加え、被災直後と変わらない風景が残り続けることが、住民の復興に向けた前向きな意欲を徐々に削いでいる点は、人権尊重の観点からも重要な課題であると感じている。
復興の遅れは単なる生活環境の問題にとどまらず、「この地域で暮らし続けたい」という住民の意思表明や選択の自由を狭める要因となり得る。こうした状況に対しては、行政による制度的支援だけでなく、地区の声を丁寧にくみ取り、復旧・復興の方向性に反映させていく姿勢が不可欠である。
今後も、外部からの伴走的な支援を通じて、住民の尊厳と意思が尊重される復興の実現に寄与していきたいと考えている。
大学院 博士後期課程 2回生 H.M.さん
































