奨学生の近況1|2022年度 後期

部落問題学習を始め様々な人権に関わる問題を学ぶ

 

私は大学の三回生になり4月から、教育文化専修のゼミ活動が始まった。ここでは、ジェンダー学という分野を研究している。最近、ゼミ活動の中で、学んだのは「男性の育休」というテーマだ。男性は、女性に比べて、育休を取ることが少ない。これは、「男が、外で働き、女が、家を守る」という事を前提とした考え方が社会に浸透しているからである。

 

しかし、近年では、男女共働きが増えていく中で、女性が出産により仕事を辞めざるをえない事を問題視する声が多く上がり、男女平等を唱える社会でなぜこのような事が起きるのかを学んだ。ここで、私が考えたのは、男女差別と部落差別はまったく違う分野の話だが、差別という視点で見たとき、社会に浸透している前提となる考え方を変えていかなければあまり効果がないということである。

 

今の時代、ネットを使って検索すると多くの情報を取得する事ができる。これは、メリットといえる点でもあるが、同時に誤った情報も多く取得できるというデメリットの点もある。誤った情報、悪意のある情報を信じてしまい、偏見の目を持ってしまう事が多くある。大事なのは、義務教育の場で、「人権教育」「ジェンダー教育」などを積極的に学んでいくというのが大事だと考えた。

 

朝田教育財団奨学生であることや、自分が部落出身という事もあり、部落に興味を持ったので、大学の「部落史研究」という講義を取った。ここでは、部落の歴史的な事を学んでいるが、昔の人間が忌避していた死体の処理を任されたりしていた。動物の死体を処理することもあったので、皮革技術が発展した。部落内で生まれた多くの文化などもあり、歴史に貢献していると分かった。

 

そして、部落差別と同時に習ったのが、ハンセン病に対する偏見と差別だ。ハンセン病患者は、近代以降は療養所に強制隔離されてきた。その結果、隔離を規定した法が廃止された後も回復者は故郷に帰る事ができないと習った。そして、ハンセン病療養所は川沿いなど町と離れた所に作られ遠ざけられていた。これは、部落差別にとても似ていると考えた。私は、ハンセン病患者への差別は知らなかったが、部落問題学習を通して新しい差別問題について知ることができた。

 

次に、サークル活動では、多くの新入生に参加していただき6名の新入生がビリヤードサークルに入った。私たちの代では3人、私たちの一個下の代は2人しかおらず、サークルが潰れてしまうと懸念していたが杞憂に終わって良かった。そして、5月20日には関西大会が開かれ、惜しくも準決勝で敗退した。
チームで戦うことで、仲間と共に成長できる楽しみを知れたし、協力するという私が苦手だった事に少し前向きな考え方ができるようになった。

 

大学 文学部 総合人文学科 2回生 O.K.さん