奨学生の近況4|2015年度 後期

「挑戦」

 

学生生活も最後の年になり、就職活動や卒業論文などで今まで以上に忙しく、ボランティア活動に参加できる時間が少なくなった。私は障碍者スポーツについて勉強をするため、今の学科を選んだ。ボランティア活動に参加できないことに不満を持ちながら、時間をつくり3ヶ月ぶりにボランティア活動に参加した。

 

ある施設の障碍児に運動の楽しさを教えることがテーマだった。私は最近こういった内容のボランティアに参加していなかったため、正直なところ自信が無かった。「自分が考えた内容で本当に大丈夫なのだろうか」という不安だけが頭に残っていた。自分で考えた指導案には障碍児にとって難しいのではないかと思う内容が含まれており、私が指導をすることで運動が嫌いになったらどうしようと不安だった。当日になり、不安なまま子どもたちの前に立つと、「今日は何をするの?」「今日もいっぱい身体を動かすの?」と元気に私に聞いてきた。楽しみにしてくれているみんなの姿を見ると、私も少し元気が出た。1時間半の指導が始まり、私が考えてきた指導案をもとにみんながいろいろな運動をしていった。

 

私は「この動きはこの子ども達には無理なのではないか」と思っていたが、みんなの行動を見て驚いた。半身不随の子どもも、思うように身体を動かせない子どもも、自己表現がなかなかできない子どももみんな一生懸命になって自分なりに取り組んでいた。子ども達みんなが諦めることをしなかった。「先生、これはどうしたらできるようになるの」とみんな聞いてきた。私が「難しかったらやらなくて大丈夫だからね」と言うと、みんなが「できるまで絶対諦めない」と私に大声で言った。施設のスタッフは私に「この子達は健常者よりもできることは少ないけれど、諦めず最後まで頑張る気持ちは健常者よりも強いです」と言った。私はその言葉が胸に刺さった。

 

指導が終わっても、「先生、この動きができなかったから教えて」と聞いてくる子どもや、「先生、今度はもっと難しいやつをやろうね」ともっとレベルの高い運動を求める子どもばかりで、誰一人「難しいからもうやらない」と口にする子どもはいなかった。

 

確かに考えて見れば、今の大人や子どもは「これは自分には無理」「こんなこと自分がやることではない」と勝手に決めつけて、やれば何か変われたかもしれないことを諦め、自分で自分の道を狭めている。結果上手くいかず、「自殺」という最悪な行動をとる人間もいる。私は「何事もチャレンジしない人間が上手くいくはずがない」と今回のボランティア活動で痛感した。何度壁にぶち当たっても、何度転んでも、諦めず最後まで挑戦することで、自分の自信にも繋がり、最後には「最高な人生だった」と思える人間になるだろう。

 

仕事が上手くいかずに自殺したとか、部活がうまくいかないから自殺したなどのニュースが報道される。「かわいそう」「気持ちがわかるな」と言っている人もいるが、私はそう思わない。なぜ五体満足な身体を自ら滅ぼすのか私には理解できない。挫折こそ最大のチャンスなのではないだろうか。本当にかわいそうなのは、障碍児・者ではなく、すぐに諦めて自分で自分の人生を閉ざしてしまう人ではないかと私は思う。

 

このレポートを読んでいるみなさんにもう一度自分自身を見つめ直してみませんかと問いかけたい。今の自分で本当に幸せか。やりたいことを全力で挑戦しているか。いま目の前にあることを全力で挑み続けているか。考えて欲しい。私もこれからたくさんの壁にぶち当たるだろう。しかし、今回のボランティアで出会った子ども達のことを思い出し、子ども達に負けないように、今ある課題に前向きに挑戦していこうと思う。

 

 

大学 スポーツ学科 4年生 C.Mさん