奨学生の近況2|2016年度 前期

『井の中の蛙』

 

10月後半から私は教育実習に行っている。

これまでボランティアやインターンシップで学校教育現場を体験している。

しかし、教育実習生という立場で小学校に行くのは、とても緊張していた。

担当の先生はどんな人だろうか、クラスの児童と仲良くできるか、授業はきちんとできるかなど、不安は多かった。

だが、その心配は杞憂に終わった。

教育実習が始まって早2週間。

担当の先生をはじめ、学校の先生みんな優しく温かい。クラスの児童とも順調にいっている。

 

教育実習とは、授業準備、児童との関わり、担当の先生などのお手伝いだけだと思っていた。

しかし、放課後に学校で行っている取り組みや、たくさんの部署での主任先生の話を聞かせていただいて、学校にはたくさんの組織があることを初めて知った。

生徒指導や食育活動をはじめ、校内研究というものまである。

それぞれの先生の話を聞いていると教師という仕事がどんなに忙しいか改めて再確認した。

たくさんの組織がすべて児童のためにある。

よりよい生活環境を整え、生きるうえで欠かせない社会生活の規則を身につけ、学力を伸ばすように、本当に児童のことを思いながら取り組んでいる。

 

教育現場に入れたおかげで、初めて教師の裏方の仕事を知った。

これまで、教師を目指していながら、教師の仕事のことを表面しか知らず、一部分しか見ていなかったのだと感じた。

それと同時に、こんなにやりがいがある仕事に就きたいとますます思った。

そして、担当の先生が普段どんなことを考えながら児童に対して授業をしたり、接していたりするのかを知るいい機会でもある。

 

あと2週間、教育実習が残っている。

だから残りの時間を無駄にせず、授業の仕方、児童に対する先生の言葉使いや対応の仕方など、教育現場でしか見ることが出来ないことに焦点を当て、どんどん学び取っていきたいと思う。

時には指摘されることもあると思うが、それをありがたいアドバイスだと受け止めて、吸収してどんどん成長していきたい。

 

私はただ、子どもが好き、教えることが好きという抽象的な理由で教師を目指しはじめた。

しかし、この教育実習でもっと具体的な志望動機をもつことができた。

2週間という短い間であっても、児童は成長している。

教師が児童のことを考え、働きかけることで、児童も応えてくれる。

そのことにすごく喜びを感じた。

だから、教師自身ももっと頑張ろうと思うようになる。

児童の成長が教師の成長を促す。そういうお互いが成長できるような関係を作れる教師になりたい。

 

大学 臨床心理学部 教育福祉心理学科 3年生 A.S.さん